れました。例の下五に入れ撥《ばち》の入る独特な都々逸で、たとえば、
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※[#歌記号、1−3−28]打つも叩くもお前のままよ
惚れたんじゃもんの[#「もんの」に傍点]好きなんじゃ
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入れ撥はここであしらわれて、さて、
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……もんの……
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と結ぶのです。
同じ節廻しのを、隠退した圓太郎(橘家・五代目)がやり、さらに、その弟子の小圓太がやり、ある場合、小圓太節とさえいわれていますが、それぞれにおかしい。――圓太郎はあの鉄火な美音だし、さりとて小音ですがれた[#「すがれた」に傍点]ところに哀感のある小圓太のもまた捨てがたいと感じます。
大阪の噺家では、林家染丸(二代目)が傷毒《かさ》がかったしわがれ[#「しわがれ」に傍点]声で歌う都々逸が、かんじんのこの人の噺よりもいい。よしこの[#「よしこの」に傍点]とか、そそり[#「そそり」に傍点]とかいった味で、
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※[#歌記号、1−3−28]舟じゃ寒かろ着てゆきゃしゃんせ
わしが部屋着のこの小袖
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