っては何べんも何べんもやり直させられた。でもどうしても師匠の満足するまでにはできずじまいだった。しかも、いわば本格の稽古らしい稽古といえばただそれ一回っきり。あとは父圓太郎といっしょにでている時分の聞き覚えのものに過ぎなかった。
 でもこの機会を失ったらまたいつだして貰えるか分らない。面を冠って小圓太はでることにした。
 いってみると自分の上がる時刻には、まだお客は五つか六つ――せいぜい十くらいしかいなかった。いいも悪いもありはしなかった。ただその十人いるかいないかのお客が、必ず下りるときには一斉に手を叩いてくれ、一人でも叩かなかった人のいる晩はなかった。せめてもそれだけが小圓太にとっては百万力の味方を得たもののようだった。
「お前、しっかりやりさえしたら、末があるってみんないってるぜ、俺はほか[#「ほか」に傍点]をやってくるからまだ聴いてねえんだが、まあしっかりやんねえ」
 ある晩、文楽師匠がこういって励ましてくれた。
「ハ、ハイしっかり勉強いたします、何分……」
 思いがけない嬉しさに、情に脆い小圓太はもう鼻をつまらせていた。黙って何べんも何べんも頭ばかり下げていた。
 だんだん小
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