は騒々しくなってきていたが、いよいよ薄気味悪いほど寄席のお客は増えていた、いわんや圓朝の真打《とり》席においておや。
そうした中でかかさず圓朝の、勤めていることが二つあった。ひとつは恩人桂文楽へ何かにつけて心からなる尊敬を忘れず、報いていること。もうひとつは初代圓生の墓参を、いよいよ欠かさず、していることだった。
「ねえ白玉を買わせにやってくれ」
涼しく川の見える縁側へ腰を下ろして、きょうもたった今、初代のお墓詣りからかえってきたばかりの圓朝が、いった。表から上がらず、そのまま小庭のほうへ廻ってきてしまったのだった。薄曇りしている庭にきのうの朝売りにきたのを小糸が買った大輪の朝顔がひとつ、真っ白な花を咲かせていた。汐まじりのした水の匂いが、快く鼻を掠めてきていた。
「……」
微かに目で肯いて、スラリと麻の葉つなぎの浴衣を着た小糸は台所のほうへ立っていった。すぐ女中にいいつけてかえってきた小糸の後から、萬朝がそそくさと愛嬌のある汗の玉だらけの円顔を見せてきた。
もう萬朝ではない、亡父の名をくれてやって二代目橘屋圓太郎、いよいよ先代写しに高座可笑しく、先代写しに日常そそっかしくはな
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