、衣裳、目の玉の飛び出すような入費だった。くじけずに圓朝、片っ端から気前よくこしらえていった。しかもチャチないい加減なものではなく下手な緞帳芝居は敵ではないほどの絢爛なところをこしらえさせるのだったから、その費用は一段とかさんでしまった。
 その上、この興行から本式の長唄囃子連中を七人も頼んで演奏して貰った。これにも莫大の出演料が必要とされた。
 その代りイザ蓋を開けると千両の役者には千両の鳴物さらにまた千両の道具、まさかに千両はかからなかったとしてもおよそ寄席の高座には吃驚するような絢爛豪華ありったけ[#「ありったけ」に傍点]のものが花々しく展開され、高座は冴えに冴えたのだった。
 アッと人びとは目を瞠った。
 息を呑んだ。
 こんな目のさめるような華やかな道具噺、いまだかつてめぐりあわしたことなんてなかったからだった。
 きた、客が。やたらにあとからあとからひっきりなしに詰めかけてきてはたちまちどこの寄席でも襖障子を取り払ってしまい、まるで正月興行のような大入り繁昌を呈することとはなってしまった。
「あんなコケ[#「コケ」に傍点]脅しにひっかかるなんて、このごろの客は悪くなったんだ
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