金太郎武蔵のすぐ隣りにいた目の細い若旦那風のがまず、いった。
「ウーム、気取らねえで凝っていてさすがに圓朝だ、こいつァ頂ける」
その隣りにいた若禿げのした旦那も賞めた。
並いる人たちも芸者たちも、幇間たちも、みんながみんな御趣向御趣向といいだした。
誰一人あっていま人気者の三遊亭圓朝、元日をあしたに控えてまさかにこの印袢纏一枚とはしるよしもなかった。あくまでこれを趣向とおもい、洒落と信じ、一座心から賞めそやした。ほうぼうから自分の贔屓を賞められて金太郎武蔵、ただもうわけもなく恐悦していた。
……その晩、圓朝はおびただしい御祝儀をいただいた。
二
そうした中でさらにひとつ「菊模様皿山奇談」を書き上げた。
これはおよそ大道具大仕掛のものだった。
山門のセリ出しがあったり、忍術使いが大きな蝶へ乗って登場したり、高座の前へ一杯水をたたえた水槽を置き、ザブンとそれへ飛び込んで高座裏へ抜け、首尾よく早替りを勤めたりした。
(この水を毎日必ず取り替えておくはずを、うっかり萬朝忘れてしまい、汚れた水の中へ圓朝を飛び込ませて、叱りつけられたこともあった)
これだけでも道具
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