圓朝は、文楽師匠住む中橋のほうへもまた足を向けては寝られないこととなってしまった。
そうした苦しい真っ最中に、老衰で父の圓太郎が、枯木の倒れるようになくなった。つづいて兄の玄正がなくなった。これは僧位進んで小石川極楽水の是照院へ転住した。永年の思いがかなってひと安心したことが発病させたらしく、患いついてすぐ代地の家へ引き取ると、充分の手当をしたのだけれど圓朝二十四歳の秋、とうとう命数尽きて帰天してしまった。晩年にはもう心から圓朝の出世を喜んでいただけ、どんなにか悲しまないではいられなかった。
父のといい、兄のといい、いまの身分以上の弔いをだしたので、いよいよお勝手元は苦しくなった。
年の瀬がきた。
去年の倍も弟子たちの増えていることはうれしかったが、それだけにこの暮れの餅代もまた倍。弟子は倍でも収入はまだ倍までにはかなっていず、ほんの少うし増えているばかりだった。すっかりその弟子たちに心づけをしてしまったあと、自分の家の春の仕度万端をすますと、大晦日にはお恥しいが圓朝、印袢纏一枚「何もかもあるだけ質に置炬燵、かかろうひまのふとんだになし」落語の「狂歌家主」をそっくり地でいく境涯
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