も、どうしていいやら困ってしまう。
ああこれほど自分のおもっている真心が、さりとてはまた情なや、四谷なる師匠が夢枕へはかようすべ[#「すべ」に傍点]とてはないのだろうか。
師匠、師匠。
分って下さい。
どうかこの私を分って下さい。
圓太をお可愛がりなさるのは御勝手だけれど、この私を裏切り者だなどとおっしゃられては、私は……私は……なんで……立つ瀬が。
いつかまたしてもボタボタ涙で欄干《てすり》を濡らしていた。
「オ、おどろいた師匠、情ねえよ俺」
いつの間に立っていたのだろう、頬膨らました萬朝が急に後から肩を叩いた。
「…………」
ドキンとしたように振り向いて圓朝は、あわてて華奢な手の甲で涙を隠した。
「いま俺、あまりくさくさ[#「くさくさ」に傍点]するから富士見の渡しンとこまでいってボンヤリ立ってたら、渡し舟ン中から馬道師匠が上がってきてね、すっかり聞いちまった圓太のことを」
今度急に圓太が看板を上げられたのは堀留のほうの船宿の後家さんをほかして入り込み、そこへ圓生はじめ三遊派の主立った人たちを毎晩のように連れてきては酒よ妓《おんな》よとチヤホヤもてなした、三遊派の人
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