ど、何も圓太の噺を笑ったわけじゃない、萬朝がとんちんかん[#「とんちんかん」に傍点]なことをいいだしたからだった。でもこう畳みかけて責め立ててこられちゃ、いい説くすべ[#「すべ」に傍点]がなかった。ただ困って頭ばかり下げていた。
「おい、今こそいってやる」
このときいっそう師匠は笠にかかってきて、
「お前が常日ごろ俺のことどんなこといって歩いているか、皆、俺こいつから聞いて知っちまった、おい圓朝どうだ、悪いことは出来ねえもんだろう。山と山とは出合わぬが人と人とは出会うもの、世の中の廻り合わせはいつどうなるか分らねえ。壁に耳あり徳利に口だぞ」
「…………」
何をどう小勇の圓太がいったかしらないが、天地の神も照覧あれ、いつまあ私が師匠の悪口なんかこれっぱかしでもいったことだろう。
ほんとうにこればっかりは浄瑠璃の鏡に照らされたって露いささかも身に後ろ暗いことはない。この何年か四谷の師匠のほうへは足も向けては寝ないくらいのこの自分じゃないか、それを、それを、圓太も圓太なら師匠も師匠だ、何ぼ何だってあまりなことを。思わず開き直っていおうとしたが、まあ待て師匠は酔っておいでなさる、口惜しき
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