ないで顎をしゃくった。
「…………」
ぐ、ぐと胸へこみ上げてくるものがあったが、ジッと耐えた。軽く会釈をして上がった。
正面に師匠が、席亭からだされたのだろう、沙魚《はぜ》の佃煮か何かでチビチビやりながら真っ赤に苦り切った顔を染めていた。二ヶ月ほど会わないうちにまた少し白髪が増えたようだったが、絶えて久しい大きな鼻が、しみじみ圓朝はなつかしかった。
「圓朝、おい」
手を仕える間もなく、鋭い声が浴びせられてきた。
「おい、ねえおい、おい、何だってお前、これ[#「これ」に傍点]の噺を邪魔ァする。大きな声で笑ったり何か、それじゃわざわざ客を立たせにやってきたようなもンじゃねえか」
「未熟じゃあるが、俺が許して三遊亭圓太を襲がせたんだ。襲がせるからには襲がせるだけの魂胆があってしたことだ。何だってそれをお前邪魔する」
「…………」
「俺はこいつが可愛い。可愛いんだ。そのこいつの真打《しばい》を邪魔立てするのはお前、俺に楯突こうてのも同じだぞ」
あとからあとから矢継早に、おもいもかけないことをいいだされてきて、全く圓朝は途方に暮れてしまった。
もちろん笑ったのはたしかにこっちが悪いけれ
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