朝を顧みて圓朝は眉をしかめた。
「コ、こんなもの師匠ごんご[#「ごんご」に傍点]……ねえ、ねえあの、ごんご[#「ごんご」に傍点]でさあ」
 このごろめっきり噺の上にも可笑しい持ち味を見せてきている萬朝が、おどけた顔付きをしていった。
「な、何だいごんご[#「ごんご」に傍点]とは」
 ほかのお客に障らないよう小さい声で圓朝が訊ねた。
「ごんごてのはホレ、ごんご……ごんご、だんだん」
 萬朝はいった。
「な、何をい……」
 笑いだして圓朝は、
「いおうならそれも言語道断だろう」
「ア、そうそうそうそう」
 とたんにいそがしく肯いた萬朝が、
「ウムそれだ、その、つまり、言語瓢箪」
「まだあんなこといって……」
 つい可笑しくて圓朝は、廻りの人たちが振り返ったほど少し大きな声で笑ってしまった。
 最前から圓太の噺、少しも受けず、一人立ち、二人立ち、かなりのお客がバラバラバラバラ立ちかけている最中だっただけ、この笑い声、いっそうお客のかえりたがっている心理へ拍車をかけたかもしれない。あわてて圓朝が袂で口を押さえたとき、いっそうドヤドヤと左右からお客が立ち上がった。
 ……間髪をいれず、そのとき背
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