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こうした立看板を、麗々しく久保本の表へ飾らせた。新春《はる》のこととてどうやら不評ながらにお客のきていたところへ、この目新しい看板は道行く人の目を魅き、足を停めさせた。論より証拠、たちまちその晩のお客は二|百《そく》五十を越え、中入り前には早や場内、春寒を忘れさせるほどの人いきれが濛々と立ちこめていた。
この晩初めて圓朝は「おみよ新助」の封切りをした。殺し場でチョンと後の黒幕が落ちると、紫と白美しき花菖蒲が、そこかしこ八つ橋を挟んで咲きみだれていた。
その菖蒲模様を背景に禅《ぜん》の勤《つと》めの鳴物、引抜きで浅黄の襦袢ひとつになって圓朝は、ものの見事な立廻りを見せた。世話だんまりのおもしろさがそのまま、猿若町の舞台からここ久保本の高座へと移り咲いて、花と匂った。
すこんからんと見得切ったとき、
「成田屋」
「音羽屋」
「三河屋」
いろいろのことを叫んでお客は熱狂した。
その興奮のるつぼ[#「るつぼ」に傍点]の真っ只中を、早間に刻む拍子木の音いろとともにスルスルと御簾が下りていった。まだ、いつ迄も、喝采が聞こえていた。歓呼のどよみが鳴り止まなかった。
初晩以来、初め
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