ての胸がスーッとするほどの出来映だった。銭金では購えない一種特別の喜びが、圓朝の身体中をズブズブに浸した。今宵こそ初めて自分の周りの人たちの顔を仰ぎ見られる思いだった。
「師匠師匠、大へんな評判。あんたなぜこれを初日からだしてくれなかったんです」
いつか話をまとめにきた下足の爺さんが、病身らしいもう年配の女主人といっしょに、バタバタ楽屋へ飛び込んできていった。
初日からこれがだせるくらいなら何も私、師匠にあんな真似をされなくてもすんだんでさあ。そういいたいところを、黙ってただニコニコと圓朝は頭を下げていた。
「あのほんのこれ少しで失礼ですが、どうか楽屋の皆さんで召し上がって下さい」
よっぽど、今夜の出来映が気に入ったのだろう、お酒を一升、お煮しめを添えて女主人がそれへ差し出した。
こんなにも自分のこしらえた噺が喜ばれた、お客はおろか席亭にまで。ジーンと圓朝はさしぐまれてくることが仕方がなかった。
やっぱりお蔭だ。師匠のお蔭だ。
チャンと何もかも承知の上で師匠はああやって虐めて下すったんだ。あのことなかったらどうしてこの私に、この「おみよ新助」の噺ひとつできていたろう、いや「
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