その晩の喋る噺に苦労をしつづけた、それがいまことごとく役に立って圓朝はさまで[#「さまで」に傍点]苦しまずとも二つともトントンと筋が立っていったのだった。否、なまじ聞き覚えの噺や講釈をあれかこれかとおもいだすより楽に、自由に、我流で筋立てていくことができたのだった。ことに、苦しさももちろん少なくはないが、一篇書き上げたそのあとの喜びは何にも代えがたく素晴らしかった。喋って、巧くできて、ワーッと受けたときより、地味ではあるがこの喜び、遥かに大きいかもしれなかった。
もの[#「もの」に傍点]書くということの上に、日々人知れぬ幸福を、圓朝は感じだすようになってきた。
傍ら新作に相応《ふさわ》しい道具もこしらえていった。つづいて鳴物の打ち合わせもおえた。
八日目。
もう中日《なかび》はすんでいたが、演らないよりはまし[#「まし」に傍点]、名誉挽回この機《とき》にありと、
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┌──────────────┐
│ 今晩より御高覧に|
│新作道具噺 |
│ 奉供候 圓朝敬白|
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