」を先くぐりされてしまったこともちろんだった。そのたんびたんび熱鉄を飲み下す思いをして圓朝は、突嗟に何かその道具立てに因みある噺を考えださなければならなかった。
いってみれば毎晩ひとつずつ即席の難題を突き付けられているような何ともかとも名状しがたい辛さ、苦しさ。
どうやらその晩お茶が濁せて打ちだすたんび、ゲソッと圓朝は自分の頬の落ちていることを感じた。
「……ひどい……ひどいなあ師匠、どれほどの私に怨みがあって」
いくら何でも師匠の仕打。もうもうろくとのみは考えられなかった。ついこう呟かずにはいられなかった。
でも――でも、なろうことなら圓朝、大恩ある師匠の上をこれッぱかしでも怨みたくはなかった。そっと何とか自分の胸を撫で摩《さす》って、怨めしさを塗り潰して置きたかった。
そう、そうだ、師匠はこの私を励ましてやろうと、それでワザとああした真似をおしなさるんだ。
そう、そう、それそれ、それにちがいない。やっとそういう考え方に思い至って一瞬、怨めしさは影を秘め、心に真如の月澄まんとしたが、
「……だが……だが……」
もったいないが澄みかけた天水桶のその水は、すぐまたそばから濁
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