ってきて、月かげ隠す薄雲とはなることが仕方がなかった。心の澱《おり》――それが消そうとすればするほど、却って一杯にひろがってきてしまうのをどうすることもできなかったのだった。
いっそ圓朝は寂しくなった。
三
いつとしなく僻《ひが》んでいこうとするこの心。
暗く寥《さび》しく愚痴っぽく、次第に下らなくなっていこうとするこの自分の心。
継《まま》っ子根性てのがこれだろう。
いけない――とおもった、圓朝。
少なくともいまは、この私という人間のいの一番の振り出しにあたっては、いやが上にも明るい了見で出立たなければならないのに。
拓こう、路を。
何とか切り拓いてしまわなければ……。
百千《ももち》に、千々に、心を苦しみ、砕いた揚句が、はじめてその結果圓朝は新作噺の自作自演ということに思い至った。
なまじ師匠から教わったものへ、道具を飾り、鳴物を使って演ろうとするから、いつも師匠のほうに先くぐりされてしまうのだ。
すでに鳴物、道具の力を借りて新しい噺の「路」を拓いていこうとする以上、百尺竿頭一歩を進めて当然その噺も、自ら工夫し、創り上ぐべきだろう。
そうした
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