いいとも、そりゃめでたい、助《す》けて上げるとも! 安心おし」
 恐る恐るスケ一件を切り出すと案ずるより生むが易し、言下にこう快諾してくれた。
「ありがとうございます師匠。何分お願い申し上げます」
 ホッと肩の荷の下りる思い。畳へ額をすれすれ[#「すれすれ」に傍点]にして礼をいった。
 ま、いいじゃないか、ゆっくり遊んでおいで――と珍しくたいそうな御機嫌で引き留められるのを昼席がありますからと断って表へでた。
 いかにものどかな午後の日の中の山茶花垣のひとつづきを歩きながら圓朝は、こうトントン拍子にいくようでは、いよいよこから[#「こから」はママ]自分の運は拓けていくかな。
 うれしくそうおもわないわけにはゆかなかった。
 と、見ると一番まとも[#「まとも」に傍点]に日を浴びている傍らの枯芝の上へござをひろげて、みるから人の好さそうな爺さんが赤い、黄色い、また薄青い唐辛子を干していた。ふっと圓朝はこのごろめっきり愚に返ってしまった父圓太郎の上をおもった。頭上で鳶がトロロと輪を描いている……。

 ……やがて久保本の初日がきた。

「困った」
 圓朝は真っ青になってしまった。その初日の晩
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