真打が、お前《めえ》の」
「よかったねえ、ほんとうに」
眉に喜びのいろを見せて双親が微笑めば、
「師匠おめでとうございます」
「ヘイ、おめでとうございます」
「おめでとうございます」
口々に弟子たちも祝儀を述べた。道具噺以来、もう萬朝のほかに、勢朝、圓三と増えていた圓朝門下だった。
逸早く母のおすみは縁喜棚へ、お燈明を上げた。カチカチ萬朝が切火を掛けた。でもいくらやってもその切火、まるで火がでないとおもったらなんの萬朝、火打石の代りにシッカリ拳ほどのお供えを握ってはいるのだった。お供えからは火がでやしないや。
「うち[#「うち」に傍点]じゃ阿父さんと萬朝と二人、そそっかし屋[#「そそっかし屋」に傍点]がいるから」
口へ手を当てておすみは笑った。
晴れやかな笑い声をあとに、手土産片手に圓朝は家をでた。獅子舞の笛太鼓がしきりにそこここに路次路次から流れていた。
久し振りでのぼってきた山手《のて》の街々、いい塩梅に師匠圓生は在宅だった。しかもおっかなびっくり[#「おっかなびっくり」に傍点]で訪ねていったのが、思いのほかに機嫌がよかった。
「エ、久保本、お前が下席を。ああいいとも
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