辰婆さんの詰めっきりで、鳴物一切は萬朝が一生懸命、かかりっきり[#「かかりっきり」に傍点]になってやっているのだった。
その合方に乗って圓朝の、あるいは高く、あるいは低く、あるいは男の、あるいは女の、台詞《せりふ》めいた声音が聞こえてきた。
誰の声《こわ》いろも使えないらしく、誰の口跡《こうせき》にも似ていなかったけれど、芝居の台詞《せりふ》であることはすぐ分った。
これがひと月ふた月とつづいた。
やがて十一月――。
ようやく圓朝は前人未踏の鳴物噺というものを、高座へのせた。
高座の後ろ一面の浅黄幕。
オヤッとお客が、目を瞠《みは》っているところへスーッとでてきてスラスラと普通の人情噺を喋っていく。
やがて噺が最高潮に達してきたとおぼしきとき、ちょんと浅黄を振り落とす。歌舞伎めかしてお約束の書割が、派手に美しく飾られている。
再びお客が目を瞠るとき、にわかに圓朝は芝居仕立の台詞となる。
台拍子、宮神楽、双盤《そうばん》、駅路、山颪《やまおろし》、浪音、そこへ噺の模様に従って適当にこれらの鳴物があしらわれていく。
その目新しさ、花々しさ。
そういってもこの気の利
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