がとっ散らかされはじめた、とんと経師屋《きょうじや》の店先のごとくに。
片っ端からそれへいちいち、萬朝と二人、汗みずくになって反古《ほご》紙を貼った。
そろそろ袷《あわせ》に着換えたいきょうこのごろ、家中がムンムとするほど炭火をおこして、その火で反古紙を貼ったものを片っ端から乾かしていった。
乾き上がると、今度はその上へ上等の鳥の子を貼った。また、それを炭火へかざして乾かした。
やっと出来上がったかとおもうと、物さしをあててみて寸法の間違いであることが分ったりして、また始めからやり直すこともあった。そうなるとまた反古紙を貼り直し、またそれを焙《あぶ》り、またまたその上へ鳥の子を、またまたそれを火で乾かすのだった。
寄席へ行くまでかかりっきりで[#「かかりっきりで」に傍点]やっていると圓朝も萬朝も、汗で着物が絞るほどグショグショになってしまった。
でも――何ともそれは愉しかった。他人には説明し難い苦労の愉しみというものがあった。
ようやくそれらが出来上がった。
あくる日から座敷中が、今度は国芳の家のおもいで懐しい無数の絵の具皿で充満された。
赤や青や黄や緑や白や紫やさて
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