も彼も自分より十倍も二十倍も巧い人たちが、もっと達者に、もっと上手に、演っているではないか。
 いくらどう馬力を掛けてみたところで、どうまあ卯辰《うだつ》が上がるものか。
 すなわち、これがどこからかしきりと圓朝の耳許へ囁きかけてきたところの「答案」だった。
 ……そうか。
 そうだったのか。
 なるほど――なるほどその通りにちがいない。
 では――では、その幾多の名人上手たちに負けないようにしていくのには、一体、どうしたらいいのか、私は。
 ……やることさ、誰もがまだ手がけていない新しい「路」を。
 そこを切り拓いていくことさ。
 第二の「声」は、つづいてこうした第二の「答案」を囁いてきた。
「おお、そうだった」
 はじめて圓朝は、この答案としての自分の行く手に薄白い東雲《しののめ》の空のいろを感じた。
 ひとすじ夜明けの朱《あけ》を見た。
 よし。
 やろう。
 やってみる。
 必ずやるとも。
 勢い立って心に叫んだ。

 あくる日から茅町のささやかな圓朝の住居の中には、ところ狭しと唐紙のような、障子骨のような、衝立《ついたて》のような、屏風のようなものの、いずれも骨組ばかりのもの
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