つもなかった。むしろ不思議でならなかった。で、いよいよ精一杯、師匠へ尽した。尽せば尽すほど師匠の機嫌は悪くなった。言葉に針があり、することがなすことが目に見えて意地悪くなり、小言をいうときでも内弟子時分のような、サラリとした小言はいってくれずいたずらに長談義のようなへん[#「へん」に傍点]にネチネチした悪意のうかがわれるお説教ばかり聞かされた。しっかりやれと自分のお盃を差してくれたあの日の師匠の思いやりある面差しなんか、薬にしたくももう見られなかった。
ひとえにそれが寂しかった、圓朝は。
こうしたひょん[#「ひょん」に傍点]なことになっても、前にもいった通りお神さんは、嬢さまの年を老《と》ったというだけのお仁《ひと》だったから何をどう取りなしてくれるでもなかった。師匠の感情は水の高きより低きへ流るるよう下らなく悪化していくばかりだった。僅かにいよいよ上がっていく人気という五色の雲の中へひた隠しに身を隠して、その寂しさを忘れていた、なぜ師匠はいっしょにこの人気を喜んじゃくれないのかしらとしきりにおもいながら。
そのころ七軒町の裏店から、表店へ。
ゴミゴミした裏長屋から、明るい表通
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