途と喋りまくったけれど、毎晩みすぼらしい装《な》りをした場違いのお客様が、二十か三十くるばかりで、てんでどうにも仕様がなかった。
 席亭も止めてくれがしの顔をした。
「この前きてくれた日本手づまの鈴川伝之丞さんのほうがよっぽど入《へえ》ったよ」
 楽屋へきて、聞こえよがしにこんなことさえいった。「ざまアみろ」と嗤っているにくい宮志多亭の雷隠居の顔がみえる思いがした。
 いたたまれない思いで圓朝は、とうとう十日の約束を五日で止めてしまった。
 次は下谷広徳寺前の寄席。
 下谷ではあるが、ここらも寂しい寺町はずれの、やっぱりお客の頭数は駒込とさして変らなかった。
 三日で止めた、これは。
 麻布古河の寄席を打った。
 つづいて狸穴《まみあな》を一席、きめた。
 どっちも十二、三人なんて晩があった。
「当分、私、休ませて頂きたいと存じます」
 戦い利あらずと見てとったのだろう、狸穴の寄席の千秋楽《らく》の晩に、文歌がこういって暇をとっていってしまった。
 万事休す矣。
 初看板の夢|壊《つい》えて圓朝はガッカリとしてしまった。
 ついこの間まで身の周りを包んでいてくれた青空が跡形もなく失せつ
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