ぞ」
 だしぬけにこう怒鳴られて、ハッと小圓太は飛び上がった。すれすれのところに大八車がひとつ。もう少しでもろ[#「もろ」に傍点]にぶつかってしまうところだった。
「す、すみません」
 ピョコピョコお辞儀をして辺りを見廻すと、甘酸っぱいようなものの立ちこめている晩春の暮れ方。飛び交う蝙蝠《こうもり》の翼を掠めて、ほんのり行く手に五日月がかかっていたが、それにしても一体ここは……。
「ア、いけない」
 三河町の千代鶴は、もう十町も手前のほうへと通り越してしまっていた。しきりに竹刀《やっとう》の声が聞こえ、もうじき於玉ヶ池の千葉先生の道場ちかくへすらきていたのだった。
 吃驚して小圓太は引き返しだした。
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第三話 続 芸憂芸喜
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     一



 目に見えて小圓太の「芸」は大人になってきた。ぐんぐんぐんぐん身丈が伸びて成長してきた。
 それにしても、何てここまでやってくる間には曾我の十番斬の講釈じゃないけれど、大小無数のいろいろの「芸」の木戸があったこッたろう。とても俺、阿父さんの席へでていた
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