たちまち一升桝十個ずつで取り囲まれた万里の長城みたいな正四角形ができあがった、続いて上へも崩れないように一升桝を十個ずつ四隅へ積み上げた。見上げるような高さだった。
よしよし。これでいい。ほくそ笑みつつ彼は寸法を測った。
驚くなかれ。縦の高さが五尺、横の長さが一間というデカバチもない見積りができあがった。じゃ、ひとつこの四角ン中へ入って仕事をするかな。正四角形の真ん中にあたるところへ入り、大あぐらをかいて圓太郎は、せッかち[#「せッかち」に傍点]に鉄槌の音をさせはじめた。後払いの約束で手金を打ってもらってきた部厚な板で、まず底にあたる部分をセッセとこしらえた。まもなく大チャブ台をふたつ合わせたような底ができあがった。すぐそれを敷いて、ドスンと彼はその上に座った。しかしずいぶん材料にお銭がかかるなア。こんな高えもんたア思わなかったよ。たちまちながら今度は四隅に取りかかった。東側をひとつ削りあげると、手早く底へ打ちつけた。北側へかかった。これもできた。また打ちつけた。西側もでき、これで板囲いみたいな三方がどうやらできた。
さアもうひとつだ。最後の勇気をふり絞って、ゴシゴシ南側の板を削
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