ウンサーが多少まじつてゐたのかとおもつてゐたら、この傾向はだんだん年と共にひどくなつてゆく。
そのくせ、アナウンサーの試験と云ふのは中々厳選のやうだけれど、一体、どんな人が試験官になるのだらう。鈴を振るやうな美声もいいし、「特許局許可局」が淀みなく云へるお方も勿論必要だけれど、訛りのない人を選ぶつてこともテストの重要なポイントの一つにぜひ加へて貰ひたいものだ。局には高橋邦太郎君、松島通夫君、坂本朝一君のごとき、チヤキ/\の江戸ツ子もゐることだから、その点の詮衡なら極めて容易であらうものを。
アナウンスされて一ばん困るのは芸人の名前――取り分け講釈師の名前である。
山陽・貞鏡・南龍・南玉などは、仮に類音を求めるならば東京[#「東京」に傍点]・放送[#「放送」に傍点]・天然[#「天然」に傍点]・行進[#「行進」に傍点]と云ふやうな言葉の場合の発音でやつて頂きたいのを、陰陽[#「陰陽」に傍点]・孝行[#「孝行」に傍点]・風流[#「風流」に傍点]・九州[#「九州」に傍点]と云ふやうな発音で紹介される。聞いてゐて何だか全く別人のやうなかんじがされて、じつに可笑しい。
第一、地方の聴取者な
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