のもあるという。
収入もまたかりにお客が二千円くれたのに千円ですと言って、その中から千円分の税金と部屋代、(折半に近い金額)を支払われても、パレス側は一切、女からのあてがい扶持で、唯々諾々としていなければならない。
中には自分が達引《たてひ》いて間夫を泊まらせ、明日の晩たくさん稼ぐから、今夜はタダで遊ばせてよとハッキリ言う女もあるそうな。
「そういう子に限ってまたなかなか腕があり、ほんとによく働くんですよ」
と、原夫人は言われた。
「パレス側とひと口に言いますが、五十個の業者が、それぞれ自主的に寄宿しているダンサーを持っているわけなんですが」
また原さんがこう語りついで、ダンサーはみな東京及び近県が多く、十人のうち八人までは女学校卒業で、小学校程度のは少ない。
平均年齢は二十一、二歳で、最長が三十歳。
「収入のない子は自然に辞めて行きますが、パレス側では最低収入の者を標準にして、いろいろの設備をしているわけで、衣裳こそ自前ですが」
付属病院へ入院しても、注射代以外は無料、食事も共同炊事で、ダンサーはできた食事を自分の部屋へ運んで食べる。
原則としては支配人たちも同一のお菜で
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