戴。
初子 だつて秋ちやん――。
お秋 まだこの上に何を言ふ事があるの? 早くお帰りよ。早く、さ。
町田 ぢや、お秋さん、僕あ、何と言つていゝかわからないんだけど――。
初子 ぢあ、秋ちやん、あんた身体に気をつけてね、私これで帰るわ――。(二人お辞儀して立上る)ぢや――。
お秋 もう、来ちやいけないわよ。
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二人去る。お秋ボンヤリと坐つてゐる。間。
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阪井 (三畳に坐つたまゝ)おい、秋ちやん――。
お秋 なに? どうしたの?
阪井 お前は先刻疵だらけだと言つたね。
お秋 え? え、さうよ。見せてあげたつていゝわ。疵だらけだわ。(微笑して)疵だらけになつて、やつて来たんだわ。生きて来たんだわ。なあに、これからだつて――。
阪井 ――(低く唸る)
お秋 どうしたの? 工合でも悪いの? ――どうしたのさ?(立たうとする)
阪井 よし! 行つてやる! 行く!(立上る)なあに、なあに、なあに!
お秋 どうして? どうしたの? どこへ行くの? まさか――。
阪井 俺を笑つてくれ。お前は俺を笑つてくれ。俺みたいな人間はお前から笑はれなきやいけないんだ。俺
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