―それつぱつちのために、初ちやんが、なにも――。
初子 えゝ、それは、そんな訳から私、出て来たんぢや無いわ。――あの人が可哀さうに思へたからつて、それだけぢや無いわ。それだけなら、私、飛び出したりしやしないわ。かへつて傍にゐるわ。――さうぢや無いわ。それよりも、杉山が、それこそ、しよつちう内へ来るの。どんなに引越しても、直ぐに捜し出してやつて来るの。まるで蛇よ。
お秋 えゝ、聞いた。
初子 そのたんびに、町田が苦労するの。私だつて、どんな嫌な目に逢つたか知れやしない。――しかし、それだけなら、いゝのよ。あれから、六ヶ月余りも、それを辛抱したんだけどそれだけなら、私、一生でも辛抱出来たんだわ。――しかし、私、考へたのよ。――私はもともと、さう、秋ちやんと同じ様な、沢ちやんと同じ様な女だわ。そんな女なんだわ。身を持ちくづした、仕様のない女だわ。――杉山が、私に、町田さんと一緒になつてからまでも、私に附きまとふのは、それは、勿論、杉山が仕方の無い悪《わる》で、金を取るためなのは解りきつてゐるんだけど、しかしねえ――。
お秋 ――。
初子 しかし。――私考へたわ。もしかすると、私だつて、同じ様
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