にヂツと見て)阪井さんなら二階に来てるよ。
弟 なんだつて? 阪井さんが! どこにゐるの?
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この頃、便所に立つたらしい阪井が右手階段のあたりの便所口から、階段へ行かうとして出る。何と思つたかそこに立つたまゝお秋の方をヂツと見て立つてゐる。この幕の終るまでそこに立つてヂツと見てゐる。
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お秋 お前の部屋にゐるかも知れないよ。
弟 しかし今頃どうして来たんだ。組合の方がいそがしいんぢや無いのか。俺、今夜あの前を通つたぜ、大変な騒ぎだ。ワーツワーツつて、なんか喧嘩でもやつてゐるらしかつた。俺あすこに立ちどまつて、やれやれ、しつかりやつて、金を持つて、いろんな匂ひのする奴等をたゝきつぶしてやれと思つた。俺も目さへ開いてゐたら。――どうしたんだよ、阪井さん?
お秋 どうしたんだか、私や知らない。
弟 変ぢや無いか。――どうも変だな。――姉さん、浜の方は凄いぜ。見えはしないけど、今に浜はひつくり返るよ。
お秋 ――そんな事はもういゝから早く二階へおいで。もうお休み。
弟 寝るよ。あゝ寝るよ。姉さんは?
お秋 私や戸締りをしなきやならないから――。阪井
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