ら、お前もするな、呼吸をするな!……覚えてゐるわ、私。……あんなに落着いてゐるやうでも、あなたやつぱりアガツてしまふんだわ。……フフフ……でも、大丈夫かなあ?
五郎 なにが?
美緒 ……だつて、私が咳をすると、あなたの顔や胸の辺まで……トバツチリで真赤になつたわよ。伝染らんかなあ?
五郎 伝染るもんか。伝染るもんなら、もうトウに伝染つてら。そんな心配は手遅れだ。
美緒 あなたが又私みたいになつたら……私、どうしよう?……、私、時々……あなたも私と同じやうに……病気にしてやりたい事があるの。
五郎 どうしてだ?
美緒 どうしてだか。……意地が悪いでしよ?……もしかすると私には……なんか悪魔みたいな、恐ろしい性質が有るかも知れないわよ。……よくつて? (眼だけ鋭く五郎を見詰めたまゝ、顔はニコニコしてゐる。それが何かゾツとするやうな印象である)
五郎 (少しドキリとして)……。(押し殺した声で)いいよ、お前が悪魔なら俺も悪魔だ、伝染したきや伝染せ。そして二人で一緒に死ぬか。フツフフフ。
美緒 ……私、とても滑稽になる事があるの。
五郎 なにが?
美緒 ……だつて私は死ぬまいと思つて、こんだけ
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