になるもんぢや無いわよ。
五郎 ……そいで恵子さんは、今日見えたんですね?
恵子 まあ、ひどいわ! それだけの事でわざわざこんな所に来るもんですか。姉さんの見舞ひが主よ。
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間。――母親はまだ涙を流してゐる。話からスツカリ除外された尾崎が砂丘の蔭から時々覗いてゐる。
[#ここで字下げ終わり]
五郎 ……もしかすると、お母さんは、美緒に万一の事があると僕がその遺産をみんな自分の物にしてしまうとでも思つてゐられるんぢやありませんか?
母親 (いろいろの意味でひどく周章狼狽して)いえ、そんな! そんな、あんた! そんな事を考へたんだつたら、初めつからこんな事を、あんたに相談したりするもんですか。そりや、そんな事をあんた言ふのは、あんまり……。
五郎 ……(ニヤリとして)籍こそ入れてなくつても、美緒と僕が結婚してから七年になりますしね、美緒の物はチリツパ一つだつて合法的に僕の思ふ通りになりますからね。……ハツハハハ、(不意に笑ひ出す)でも安心して下さい。僕にやそんな気は全然有りません。不動産は利ちやんの物です。美緒は、分け前も要りません。たゞ、今、彼奴にこんな事を聞かせる
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