ないし、僅かな物でも、早く片附くところへ片附けとかないと安心出来ませんからねえ。
五郎 ですから、御自由に書換へをして下すつてもいゝだらうと思ふんです。美緒には、少し良くなつたら、僕からさう言ひますから。
母親 このままズルズルして居て、もしかして美緒に万一の事でもあると、当人が居なくなるわけなんだから、又々面倒な事になります。この間弁護士に聞いたんですよ。いえさ、私だつて、どんな事があつても美緒を死なしたくはありません。自分の腹を痛めたかしら娘なんですからねえ。このまゝポツクリ行かしてたまるもんですか。(泣き出してゐる。彼女が娘を愛してゐることは真実なのである)でも人間、老少不定といふ事はありますからねえ。それに美緒が今の様な有様では、あんまり安心しても居れないんですから。(泣く)
五郎 ……(心にズキリと斬り込んで来るものがあるが、黙つてこらへてゐる)
恵子 母さん泣いたりして、エンギが悪いぢやないの、姉さんまだ死ぬものと決つたわけぢや無くてよ、馬鹿ねえ。(と人柄とはおよそ不似合ひな事を言ふ)
母親 だつてさ、近頃の美緒を見てごらんな。あんなに綺麗な顔になつてしまつて。死ぬ病人は綺
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