麗になるもんだからねえ、私あ、あの子の顔を見るたんびに、ドキツとするんですよ。私あ、あれに今死なれたら、今死なれたら、どうして生きて行けるんだか。……ホンにならうものなら私が身代わりになつて死んでやりたいよ! ホントに! (泣く。これは全く正直にさう思つて悲しがつてゐるのであつて、嘘でも偽りでも無いのである)……たつた卅過ぎやそこらで、貧乏ばかりして何一つ楽しい目も見ない……良い着物の一つ着るんじや無し、気だての良い子は早く死ぬと言ふが、……こんな事なら、もつと良い目を見せて置くんだつたよ。
五郎 ……(相手の言葉がピシリピシリと自分を打ち叩くのである。その打撃に首を垂れて動かない)
恵子 母さん、……五郎さんにそんな事を言ふもんぢやなくつてよ。
母親 え? いえさ、私あ五郎さんに当てこすつてこんな事を言つてゐるのぢやありません。だつて可哀さうぢやありませんか。
五郎 ……済みません。……しかし、……しかし、美緒は死にやしません。……死にやしませんよ。
母親 だつて。あんたがそんな事言つたつて、あの分ぢや、どうなるかわかりません。そいで今の内に、書換へを済ましとかないと、ポクリと行かれ
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