しまふもんですからね、このままにして置くと子供達の養育費なんか無くなつてしまふと言ふのでお祖父さんが心配なさつて、父親を言はゞまあ禁冶産と言つた風にして分家させてしまつて、その後へ長女の美緒を戸主に直して、現在残つてゐるだけの地所家屋の名儀人に立てたんですよ。その辺の所は、あんたも知つてゐますね。
五郎 ……えゝ、知つてゐます。
母親 そんなわけだから、初めつから、どうせ利男が大きくなれば、何と言つてもあれが長男だから、地所も家屋もあれに来るのが当然なんだから、早く戸主に直して利男のものにしてやらなきやならない物なんです。それが延び延びになつてゐたのは、書換へには、なんでも六百円以上も相続税やらなんやらかゝるさうで、それが内でも、美緒の病気やなんか次々と物入りで、それだけの現金がどうしても浮いて来なかつたものですからね、それでさ――。
五郎 えゝ、よくわかつてゐます。……そりや利ちやんが受取られるのが当然ですから、どうぞそんな風に――。
母親 それがですよ、利男もあゝして学校も無事に卒業して就職すれば間もなく嫁も取らなきやなりませんしね、そして結局、行く行くは私も利男にかゝらなきやなら
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