たら――?
裏天 いくらかくらと言つたつて、二十円でも三十円でも有りや大したもんさ。んだが、まあ久我さんそんな心配するなよ。アハハハ。
尾崎 (笑ひながら押問答を傍観してゐたが)おい、久我君、僕が出してやらうか?
五郎 え? ……君がか? ……貸してくれるのか?
尾崎 全体、家賃はいくらなんだい?
五郎 一月十五円だから、百円足らず溜つてゐる。
尾崎 十五円とは安いなあ。さうさなあ、(と大きなガマ口を出して)百円なんて今日は持つて来てないけど、五十円ならある。(アツサリ紙幣を取り出して)これを君に貸してやらうぢやないか。なに、此の次に来た時に書類を書き換へて呉れりやいゝさ。
五郎 ……(変な顔をしてためらつてゐる)さうか、でも……。
尾崎 遠慮はいらん。僕としてもこんな話を聞いて知らん顔はして居れないよ。いゝから君――。
五郎 ……さうして呉れりやありがたいが……(決心して)ぢや拝借しよう。これだけ僕の元金の方へ繰込んでくれよ。ありがたう。……(裏天へ)さあ、裏天さん、これを。
裏天 (けゞんさうな顔で尾崎と五郎を見較べてゐる)……いゝのかね? わしら、どつちにしたつて同じやうなもんだ
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