てしかし、五段や六段の田でこれから百姓をすると言ふても、うまく行くかどうか心細い話よ。でもまあ、クヨクヨ取りこし苦労をしても始まるめえ。まあ、いゝよ。
五郎 だつて、あれだけにした店を、惜しいぢやないかね? なんとかならんかなあ?
裏天 そりやさうさ。まあ、なんとか此の一月の間に少し整理をして立直したいと思ふとるよ。ところ――が、その一月がもう危くなつて来てのう。なんしろ、銭が五円もなくなつてしまうて、かゝあなんぞもう眼が釣り上つてゐら。こんな事言ふてもあんたらにや本当になるまい。ところ――が、それが本当ぢやから仕様が無え。わしらだけで無く、此処いらん小商人の内幕なんぞ、そんなもんさ。ヘツヘヘ。そんな心配しなさんな、あんとかなるべえ。そいぢや……。
五郎 ま、待つてくれ。そんな君! ……弱つたなあ。そいで、その、現在どれ位金が有つたら半月でも一月でも、その、なんとかして行けるの?
裏天 あゝに、心配しねえでいゝよ、あんたにも無えんだらうが。あんたはこれまで金が有りさへすればチヤンと呉れただからなあ。わしらあ信用してるよ。しかし、無えものは無え。お互ひだあ。
五郎 だから、今、いくら有つ
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