んですけど、夜学の工芸学校に通つてゐるから、再来年の四月になれば技手の資格が取れるんです。この仙ちやん(と少女一を指して)は、松尾の食料品部につとめながら、洋裁習つてゐます。そいから、唱歌がチツトも歌へなかつた時ちやんね、あの子は、こないだ新京の何とか言ふデパートに行きました。そいから、食堂でよくオシツコを垂れちやつて先生に拭いて貰つてゐた哲ちやんて子ね、あれは、こないだ病気だつたんだけど、もう良くなつて、お父つあんの後をついで左官屋さんになつて、腕がよくなつたら支那へ渡るんだと言つてました。
少女一 そいからね、先生、あの、よく人の物を黙つて盗んでゐた竹内ミチさんね、卒業してから学校の方も五年でよしちやつて、暫く見えないと思つてゐたら、こないだ、斉藤のツネちやんが道で逢つたら、ズツと大阪の方に奉公に行つてて、とても立派なナリをして、はあさうだすなんて言ふんですつて。先生の事を話してやつたら、とても心配してゐたんですつて。
五郎 ハハ、みんな元気でやつてゐるんだね。いゝな、みんなこれからだ。(三人に目顔で、もうそれ位にしてくれと知らせる)
少年 (モヂモヂしながら)美緒先生、早くよくな
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