…。すると……すると、なにか? お前は――?
美緒 ……(パツと赤くなつて、両掌で顔を蔽ふ)
五郎 ……ふむ。……さうか、そんな事をお前……さうか。(美緒の言つてゐるのがセキ[#「セキ」に「ママ」の注記]ヂユアルな事であつた事を理解するや、急に、はじめドギマギするが、次第に、赤井達のためにそこ迄考へてゐた此の病人が可哀さうな様な、いぢらしい様な、不思議な様な気がして来、いつまでもいつまでも見守つてゐる)……さうか。
美緒 ……はづかしい……わ。(まだ顔を蔽うてゐる)
五郎 ……いや、いゝんだ。はづかしい事なんか無いよ。その調子だよ、その調子だ。それでいゝんだ。な! (美緒の頭を静かに抱いて、その顔を蔽うてゐる掌の甲の上から接吻する)……な! 美緒、お前は良い女だ。……なるほど、赤井達は、あれつきりで、会へないかもわからんのだ。……美緒、お前は本当に良い女だ。
美緒 ……いや……だわ。……あつちい……行つて。
五郎 アツハハハ、ハハハ、はづかしがらなくつていゝよ。ハハ、そいで、赤井達はお前がそんな事まで考へてゐたと言ふ事は未だに気が附かずにゐるだらう。すばらしいぢやないか。いゝんだよ。セ
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