無いのか?……さうか。比企さんの処方はやつぱり一番効くやうだな。……比企さんと言へば、いや、どうも、俺あ醜態を演じちやつて……。頭を悪くしてるよ。……とうとう怒らしちやつた。あの立派な人に喰つてかゝるといふ法はないんだ。醜態だ。……いや、直ぐに詑《あやま》り状は出しといたがね。怒つちやゐないから、今後ももし必要があつたら、いくらでもさう言つてよこしてくれと言つて来た。……俺あ、耻かしくつてなあ。……まあいゝさ。俺と言ふ男は、何処へ行つても結局赤つ耻を掻くやうに出来てゐるんだなあ。……どうも仕方がないよ。ハハハ、……まだチツトも人間が出来てゐない。よくよく駄目だ。……三十面をさげて青過ぎらあ。……(美緒が頭を横に振つて、そんな事は無いと言ふ。と言ふよりも、そんな風に自分を否定してはいけないと言ふ意味を籠めて)なんだつて? いや、さうなんだ。こんな事ぢや、赤井にだつて済まねえ。……第一、こんな事で赤井の留守を、伊佐子さんや生れて来る赤んぼなんぞの事をチヤンと守つてやつて行けるもんか。久我五郎はオツチヨコチヨイの青二才だよ。……一言に言ふと、やつぱり安価なるセンチメンタリストなんだな。尾崎の
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