)……いえ、私がね……もう間もなく……いけないからなの。
小母 (美緒の声が低いので聞えず、その仕草だけを受取つて)さうどす、奥さんに見せようと思うて描きに行かはつてゐるのどすえ、チヤーンと知つてゐますがな。えゝなあ。お嫁はんの言はゝる事なら、どないな事でも五郎はん、やつてくれはる。見てゐてもケナルウなりまつせ。ホンマに! 首つたけや。ハハハハ。さうどすえ!
美緒 ……(弱々しい笑ひ)……私が……居なくなつたら……五郎は……どうするんでせう。……それだけが……私……心配なの。どうぞ、頼むわ、小母さん……。
小母 (相手の唇の動きをマジマジと見詰めながら)さうどす! 奥さんの言はゝる事なら、五郎はん、どないな事でも、たとへ火の中でも行かはりまつせ! おゝおゝ、シンドイ話や! (とまだ自分流に聞き誤つてゐる。そんな風に彼女に誤つて聞かれる程、美緒の表情は明るく、その言葉の持つてゐる意味とは全く反対のものである)
美緒 ……頼むわ、……小母さん……私が……居なくなつたら……五郎のこと……(小母さんに向つて両手を合せる)
小母 (まだまちがつて受取つてゐる)ハツハハハ、さうどす! 拝みなはれ、
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