、うれしうてならん。あと、口直しにリンゴの汁でもあがりまつか?……(美緒かぶりを振る)さうだつか。……(美緒の額に手を当てゝ熱を計る)熱もだいぶ下りましたえ。……ホンマになあ、久しぶりに熱をお出しにならはつたので、四五日前にはビツクリしました。ハハハ、珍らしいさけなあ。……あれは赤井の兵隊さん達が来やはつた直ぐ次の日やつたから、あれからヒイ、フウ、ミイ、ヨ、イツ(と指を折つて)今日で六日目どすな。……もう大丈夫どす!
美緒……(うなづいて見せる)
小母 ……赤井はんの兵隊さんはもう出征しやはつたかいな! どうぞ、御無事で行つて来やはるやうに。……ホンマにえゝ方どすえなあ。奥さんもサツクリとしたえゝ方どす。この間も、わてが御飯の支度でマゴマゴして居りましたらな、あの奥さん黙あつて台所に下りて来やはつて、ドンドン加勢してくれはります。恵子はんなどとは、えらい違ひどす! 実のお妹はんでゐても、あんな――(言ひ過ぎた事に気附いて)いや、それはな恵子はんは恵子はんで、やつぱりそれぞれ流儀がお有りどすよつて――。
美緒 ……(微笑して、言つてもかまはないと言ふ意味の手真似)
小母 ……さうどすか?
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