でも、昔、わてのお母はんが居やはつた事は、チヤーンとわてが知つてますがな! そのわてのお母はんが、わてを大事に大事にしてくれはつた事や、わてに教へてくれはつた事は、そないな不確かな事ではおまへん! チヤーンと確かな、たとへ世の中がデングリ返つても、間違ひのない事どす。大丈夫、金のワキザシや!……そらそら、又笑ひはる! たーんと馬鹿におしなれ、構ひ〔ま〕へん! んでも今に百年もたつたらな、わても奥さんも生れ代つて来ますさかいな。そん時には、今わてはチヤーンとかうして奥さんを可愛がつて看病してあげたのどすよつて、こんどめ生れ代つて来たら、わての方が奥さんにターンと可愛がつて貰ひまつせ! ようおすか? 忘れたらあきまへんえ! お前みたよなツンボーの赤ん坊なんど知らん言ふたらあきまへんえ!……ハツハハハハ、ハハ。
美緒 ……(声を出さずに笑ひながら、片手を出して小母さんの頭を撫でてやる)
小母 泣いたらあきまへん! えゝな? ハハハ、さ、お薬どす。……(非常に注意深く、馴れた手附きで水薬を飲ませる。おとなしくそれを飲む美緒)……あゝ、えゝお子や、よく飲みはつた。近頃ホンマにおとなしう飲みはるで
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