さんのお内でドンドンドンドン赤さんが生れはると、わてらの命も、ドンドンドンドン伸びるのどす。……わてらは、いつなんどき成仏してもえゝのどす。……赤井の兵隊さんに赤さんが生れはる! わては、うれしうてなりまへん!
美緒 ……(いたづらさうな顔で、手真似で、小母さんとそれから自分を指して、それは小母さんの生れ代りか自分の生れ代りかと訊く)
小母 そら、誰の生れ代りか、わてらには解りまへん。生きてゐる内に、えゝ事したもんは、ミーンな生れ代ります。……今、戦地へ行かはつて、討ち死になさつてゐる兵隊さんがギヨーサン居やはりますがな、それもみーんな生れ代らはります。お国の為に御苦労なさつて戦死なさるのどす、キツト、どこぞで一等かわゆらしい赤さんが生れはりますがな! (言ひ方は少し滑稽味を帯びてゐるが、彼女は自分の言つてゐる事を文字通り確信してゐるのである)
美緒 ……(何度もうなづく)
小母 さうどす! わては学《がく》がないよつて、理窟はわかりまへん。でも、いくら笑はゝつても、さうどす! わては、仏様や神様がほんまに、居やはるか、居やはらんもんか、わかりまへん。信心なんど、した事おまへん。……ん
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