考へながら浜を歩き、砂丘の五郎を見出す。
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赤井 ……こんな所にゐるのか。久我……久我……おい久我! なんだ寝込んでゐるのか。(ジツと見おろしてゐたが、失神して倒れてゐる五郎の事を、疲れ切つて眠つてゐるものと思ひ、起すのはよして自分もその側に腰をおろす)……。
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沖からの唄声。
 赤井はその唄声の方をチヨツト伸び上つて眺めるが、直ぐよして何か考へながら、ジツと海の方を見てゐる。出征を前にして、いろいろの感慨が胸中を往来してゐるらしい。
永い間。……
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     5 家で

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 五六日後の明るい美しい午後。
 寝台の上で絶対安静を守つてゐる美緒。
 その枕元に附き添つて酸素吸入の具合などを見てやりながら、ポツリポツリと話をしてゐる小母さん。
 美緒の病状は更に重態になつたらしく、衰弱のためもう殆んど声が出ず、此場で彼女が口にする言葉も数語に過ぎない程であるが、その表情は以前より更に明るく落着いてゐる。小母さんもそれに調子を合せてゐるが、しかし永らく看病して来た病人が目下絶望状態であることは知つ
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