言ふ訳でもなくブラリブラリとユツクリ歩く。
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五郎 ……比企さん、俺が悪かつた。比企さん!――(立上つて無意識に比企の後を追ひかけて行きさうにしたトタンに丁度男の姿が眼に入る。フツと眼を釘付けにされたやうにその男を見詰めはじめる。……男は街道の途中まで来て、そこでボンヤリ立停つてゐたが、再び何と思つたのか、元来た方へ又フラリフラリと歩み出し、上手へ消える。その間五郎はジツとそればかり見守つてゐたが、不意に喘ぐやうな声で、グワーともゲツとも聞える叫声をあげる)……
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 間。……静かである。
 やがて沖の方から、京子がボートの上で唄ふのであらう Torna A Surriento の歌声が流れて来る。それをじつと聞いてゐる五郎の殆んど混乱の極に達した顔。
間。……五郎の身体がフラリフラリと揺れる。
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五郎 ……美緒。……美緒。……助けてくれ。……(うつぶせに砂丘に倒れてしまふ)
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間。
 赤井が家の方向から歩いて来る。シヤツに軍袴に下駄を突つかけた姿。酔ひをさましかたがた五郎を捜しに来たらしい。何か
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