ら上手へ歩み去る)
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短い間。
五郎はまだ沖を見てゐる。
[#ここで字下げ終わり]
京子 ……善良な方ね、利男さんて?
五郎 え?……さう。ありや良い男です。
京子 恋愛結婚なんて認めないつて言つたら、憤慨なすつてゐたつけ。
五郎 なんの事ですか?
京子 五郎さん、お顔が真青だわ。眼の中は真赤。酔つてゐらつしやるのね。
五郎 或る程度以上飲むと、近頃、青くなるんです。でも酔つちやゐません。ハハ。……赤ん坊が生れるんです。
京子 え、赤んぼ? 赤んぼが生れるつて、奥さんに?
五郎 いやあ、なに。いや、それは、いゝんですよ。美緒の話ぢやありません。アツハハハ……(言ひながら笑つてゐたが、京子を見てゐるうちに、フツと眼がさめたやうになつて、笑ひをパタリと止めてしまふ)……。
京子 なんですの?
五郎 いや……(ヂロリヂロリと京子の姿を眼で舐めまわしてゐる)
京子 どうなすつたのよ。
五郎 あなた、……目方はどの位あるんです?
京子 いやだわ。そんな事聞いてなんになさるんですの?
五郎 どれ位あるんですか?
京子 ……十四貫五百。
五郎 十四貫五百。思つたより無いな。
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