さうですか。
五郎 ……今日は、だいぶウネリがある。……沖は荒れてるな。……京子さん、もう泳いだんですか?
京子 ……いゝえ、兄だけ泳いでゐるわ。
五郎 へえ。……(沖を見て)此処からは見えないなあ。
京子 そんなに遠くまで行けるもんですか、あのブイの処よ。
五郎 見えんなあ……。
京子 ほら、赤いのが見えるでしよ? 鴎の飛んでいるチヨツト右の辺、赤いブイの近くよ。
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利男何か考へながら下手の方へ歩み出してゐる。
[#ここで字下げ終わり]
五郎 ……波が高い。……(ボンヤリ沖の浮標を見てゐる)
京子 あら、利男さん泳ぐの?
利男 いや。……さうだな、ボートでも少し漕いで来るかな。貸しボート屋やつてゐるかな? (眺めて)あゝ、まだやつてる。京子さんもどうです?
京子 あなた漕げて? ウネリが高いから、マゴマゴしてゝ、ひつくり返りの、ドブンなんて、ありがたく無いからな。
利男 (苦笑)冗談言つちやいけません。中学時代、これでボートのチヤンだつたんですよ。
京子 さう? そいぢやあ後で乗せて貰ふわ。その辺まで持つて来て、浜につけてね。
利男 かなはんなあ。……(言ひなが
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