子 まあ……(両手で顔をかくしてゐる)
赤井 (うれしさを隠しきれず、でもテレて顔を掻きながら)……こんな、今頃になつて出しぬけに、どうも――。
五郎 いゝぢやないか。赤井、もう一つ飲め。伊佐子さんも一つ飲みなさい。(ビールを注ぐ)
美緒 伊佐子さんは飲んぢやいけないわ。
五郎 え?……あ、さうか。ぢや赤井、お前飲め。
赤井 でも俺あもう先刻からグラグラして、ひどく睡くなつて来ちやつた。(飲む)
五郎 いゝぢやないか。眠くなつたら寝たらいゝ。時間が来ればチヤンと起してやる。
美緒 (しばらく前から何かひどくイライラしてゐる)さう、ホントにお眠りになつたらいゝわ。あなたは、少し散歩して来なさいよ。
五郎 俺か? いや、俺あもつと赤井と話が有るんだ。
美緒 だつて……そんな事になれば、伊佐子さんも、もつと何かお話があるでせうし、あなたホントに浜へチヨツト行つて来るといゝわ。
五郎 浜へなんか行きたく無い。伊佐子さん話があればすればいゝぢやないか。どんな話だつて俺達の前でしてくれていゝよ、なあ赤井。
赤井 うん。なんかもつと話して置きたい事が有つたんだが、――いや君にだよ、――どうも、うまく
前へ
次へ
全193ページ中118ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング