何か言ひ澱んでゐたかと思ふと不意にシクシクと泣き出す)
赤井 (びつくりして)なんだ、どうしたんだ? ……どうした?
伊佐子 (二つ三つ声を出して泣く)……私、どうしたら、いゝんだらう? あなたの居ない時に生れちやつたら、どうしよう?
赤井 なんだつて?……生れる?
伊佐子 さうぢや無いかと思ふの。……私、ホンの此の間まで、気が附かなかつたの。でも、もしかすると、さうぢや無いかと思ふの。……家の姉さんに聞いたら、多分さうだつておつしやるの……。
赤井 さうか。でも、なにか、医者に診て貰ふとか、なんとか……?
伊佐子 姉さんは、医者に見せるまでも無いんだつて。……そいで私、どうしようかと思つて――。
五郎 さうですか。いや、なあんだ! それでいゝ、それでいゝんだ。どうしようかなんて思ふ必要はありませんよ。なあんだ伊佐子さんも少し馬鹿だ。いゝじやありませんか、それでいゝんだ。俺がゐるからいゝんだ。
赤井 ……僕の子が生れる。……さうか。
五郎 いゝんだ、いゝんだ! それでいゝんだ!
赤井 ……久我、ひとつ、よろしく頼む!
五郎 大丈夫だ。俺が引受けた。
美緒 伊佐子さん、お目出度う。
伊佐
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