が? さう、一人で?
五郎 いや、兄さんと一緒だよ。今、浜で泳いでゐる筈だ。
美緒 利ちやんも泳いで来たら、どう?
赤井 いや、僕等の事なら、どうぞ、御遠慮なく。かまひませんよ美緒さん。
利男 (やつと少し姉の気持が分つて)[#「分つて)」は底本では「分つて」]……ぢや僕、チヨツト行つて来るかな。泳ぐのも久しぶりだなあ。水着は此の前のが有つたね。……ぢや又あとで。(台所の方へドンドン去る)
赤井 相変らず元気だな。
五郎 (苦笑)なんしろ勤めはきまつたし、面白くつて仕様がない時代なんだね。でも性質は無類に良いんだ。これの肉身の中で、あの男だけは飛び抜けて善良なんだよ。……伊佐子さん。わざわざおみやげを済みません。いよいよ赤井が行くとなると、あなたも大変だ。
伊佐子 はあ。……(眼はやつぱり赤井を見てゐる)
赤井 なあに平気だね? あとの事は久我君にみんな頼んどいたから。家の者が少し位変な態度を見せたつて、知らん顔してりやいゝんだ。
伊佐子 (今迄固くなつてゐたのが、フツと自由な気持になつてニツコリして)あなた、顔が真赤だわ。
赤井 ひどく飲まされた。ハツハハハ。
伊佐子 あのね……(と
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